住宅ローンの返済ができなくなり、ついには家と土地を手放すことになる、住宅ローン破綻!
家を建てるときは、住宅ローン破綻者になることなんて、誰も想像していないはず。
もちろん、そんなことにならないようにという思いは持って、家づくりを考えていることも事実でしょう。
ここでは、住宅ローンで破綻してしまった人たちの共通した原因から、これから家づくりを始める人が、住宅ローン破綻をしないための対策を考えてみましょう。
住宅ローン破綻する原因は様々ですが…
住宅ローンの返済ができなくなる原因は、様々ありますが、よく聞かれる原因は次のようなことです。
- 会社が倒産してリストラされた
- ボーナスがカットされボーナス返済ができなくなってしまった
- 定年退職時に、退職金が少なくローンを返済しきれず、年金だけでは生活できなくなってしまった
- 病気や事故による怪我で働けなくなった
- 家族が病気になり医療費がかかった
- 共働きだったのに奥さんが働けなくなった
- 子供の教育費が生活費を圧迫した
- 住宅ローン以外にもローンを組んで返済が苦しくなった
- ギャンブルで借金をした
このように、原因を書き出したらキリがないほどあるのですが、実はこれらの原因を分けると大きく2つに分けられます。
- 自分ではどうしようもない原因
- 自分でなんとかできた原因
1は、会社がいきなり倒産してしまったとか、自分や家族が病気になってしまったような原因が含まれるでしょう。
2は、ボーナスがカットされてしまったとか、退職金が思うようにもらえなかったという原因です。
ギャンブルなどの失敗によるお金の使い込みなども含まれるのですが、ここでは考えないこととしたいと思います。
1の原因は、どんなことにもリスクはあることですから、やむを得ないとも言えるでしょう。
しかし、2に含まれる原因については、あらかじめ対策を講じておくことは可能です。
さらに、住宅ローンで破綻する人に共通点が多いのは、この2に含まれる原因です。
住宅ローン破綻する人の共通した原因とは?
住宅ローン破綻する人の共通した原因は、次の3つです。
- ボーナス払いができなくなった。
- 退職金が思うようにもらえなかった。
- 夫婦共働きができなくなった。
ボーナス払いができなくなった
住宅ローンの借入れ金額には、限度額が設定されていることがほとんどです。
その限度額のことを「融資限度額」といい、それは年収に対して住宅ローンの占める割合の上限で決められます。
この割合のことを「返済負担率」といい、フラット35では、以下のように設定されています。
⇒ 返済負担率について詳しくはこちら
年収 | 400万円未満 | 400万円以上 |
---|---|---|
返済負担率の基準 | 30%以下 | 35%以下 |
例えば、年収が500万円の場合、融資限度額は、年収の35%以下ですから、年間で175万円になります。
これを月額にすると、毎月約14万6千円になりますが、この金額を見た時に、ほとんどの人は、毎月そんなに返済したら生活が苦しくなるからムリと考えるでしょう。
では、年に2回のボーナスで、1回を30万円として、2回で60万円を返済するとどうなるでしょう。
毎月の返済額分がいくらになるか計算してみましょう。
175万円 - 60万円 = 115万円
115万円 ÷ 12ヶ月 = 約9万6千円
この数字を見た人の中には、
「10万円を切っているし、これなら家賃よりも安いし返済できるかも」
と考えて、住宅ローンを組んでしまうかもしれません。
こうして、始めた住宅ローンですが、働く会社の都合により、ボーナスカット!
しかし、住宅ローンはカットされることはありません。
ボーナスがないにも関わらず、ボーナス月には、約40万円の住宅ローンの返済をしなければなりません。
それも、年に2回です。
そもそも、住宅ローンを借入れたときの年収の500万円というのは、ボーナスの金額も含めた年収ですから、ボーナスをカットされたときの年収は、500万円を大きく下回っているかもしれません。
そのような状況で、住宅ローンの返済ができるわけもなく、結局は、住宅ローンの破綻ということになってしまうのです。
退職金が思うようにもらえなかった
家を建てる人の年齢は、結婚をして、子供もいるような年齢が多いですから、35歳位です。
では、35歳で住宅ローンを組むことを考えるとしましょう。
住宅ローンの返済期間を35年とすると、返済完了年齢は、70歳ということになります。
会社の定年退職を65歳とすると、70歳では、もちろん会社を退職していることになりますが、住宅ローンを組むときに、多くの人は「退職金があるから、残りはそのお金で返せるだろう。」ともくろみます。
しかし、先ほど説明しましたボーナスカットのように、退職金についても、どうなるかわからない世の中です。
65歳になったときに、あてにしていた退職金が思うようにもらえなくても、住宅ローンは返済し続けなければなりません。
毎月の返済額が年金で返すことができる範囲ならいいのですが、そうでない場合は、家や土地を手放すことになる、住宅ローン破綻者になってしまいます。
夫婦共働きができなくなった
夫婦が二人で働いて、頑張って新築を建てようという家庭は、珍しくありません。
夫婦がそれぞれ、まずまず安定した会社の正社員ということであるならば、なんらかの理由で働けなくなるというようなリスクは少ないでしょう。
しかし、例えば、夫が正社員で、妻がパートタイマーやアルバイトのような場合には、奥さんの方は、いつ雇用が中止されるか分かりません。
もし、そうなった場合に、すぐに別の職場で働くことができれば、なんとかなるのでしょうが、年齢や、住宅のある地域の場所などの条件によっては、なかなか次の職場に行けないこともあります。
そのようなことを考慮すると、人によっては、夫婦共働きの収入を住宅ローンの返済に見込むことはリスクが高い場合もあります。
夫婦共働きの収入を見込んだ住宅ローンの最も大きなリスクは、離婚です。
離婚をすれば、夫婦2人の収入で返済できてきた住宅ローンが、どちらか片方の負担になります。
住宅ローンが返済できないから離婚というケースもありますが、離婚することで住宅ローンが返済できなくなるというケースもあるというわけです。
家を建てるときに、離婚などということは、考えたくないことですが、夫婦共働きの収入をあてにしていると、このような不測の事態になったときに、住宅ローン破綻とならないとも限りません。
夫婦が協力して、頑張って家を建てるということは素晴らしいことだと思いますが、そのリスクがまったくないわけではないということを覚えておくといいでしょう。
私がご提案するならば、夫がメインの収入を得ているとしたら、できる限り夫の収入だけで返済できる額の住宅ローンを借入れて、奥さんの収入は貯金をしていき、住宅ローンの繰上げ返済に使うことをおすすめします。
繰上げ返済ができれば、住宅ローンの負担が軽減できますし、もし、繰上げ返済ができない場合でも、夫の収入で住宅ローンを返済していくわけですから、破綻するような事態には陥ることはないでしょう。