『住宅資金計画セミナー~家を購入する前に知っておくべきお金の話~』の講師は、プロのファイナンシャルプランナー(FP)で、40歳代の男性でした。
セミナーでは、講師のFPさんの自己紹介から始まりましたので、ここでも簡単にご紹介しておきます。
セミナー講師のFPさんは、大学を卒業後、某大手ハウスメーカーに就職をして、ハウスメーカーの注文住宅や建売住宅を販売する営業マンの仕事に就いたそうです。
その大手ハウスメーカーの営業マンのノルマは大変に厳しく、ノルマの期間中になんとかノルマを達成しても、また次のノルマが科せられ、常にプレッシャーが重くのしかかり、日々の仕事に休む間がなく、いつも迫るノルマに圧迫させられ、そのストレスは大変なものがあったそうです。
そんなある日、建売住宅で待機をしていると、一人の男性のお客さんが訪ねてきたそうです。
そのお客さんの話を聞くと、
「私は、この建売住宅の近くのアパートに家族3人で暮らしています。家族は、妻と3歳になる男の子、そして妻のお腹の中にもう一人。妻の妊娠が分かった頃に、この場所にこの家の建築が始まりました。私は、この家の基礎工事から、家の完成までをずっと見続けてきて、この家がとても気に入り、ぜひ購入したいと思っていました。そして、今日、お伺いしたわけです。」
それを聞いた元ハウスメーカー営業マンのFPさんは、直感で分かったそうです。
「この人は、この家を絶対に買ってくれる。」と…
そして、FPさんは、そのお客さんから、職業や年収を聞くことに。
職業は、某運送会社のトラック運転手で、年収は約400万円で、一般社員とのこと。
そして、家を購入するための頭金は、ほぼ0(ゼロ)円であること。
年収を聞いたFPさんは、思ったそうです。
「この年収と、今の家族構成では、この家のローンを払っていくことは、かなり厳しい生活になる。でも、なんとかして売らなければ。」
実は、この建売住宅の販売価格は、土地を合わせて約4000万円でした。
頭金がほぼゼロ円なので、家の購入費は、住宅ローンの借り入れしかありません。
35年間の住宅ローンを組むとすると、返済負担率をその時の金利で軽く40%を超えていました。
住宅金融支援機構のフラット35では、返済負担率の基準は、年収が400万円以上の場合でも35%ですから足りません。
それでも、この建売住宅を売って、ノルマをなんとかしたい元営業マンのFPさんは、いろいろな手を使って、住宅ローンを組めるように資金計画書を作成したそうです。
それは、家族3人(生まれてくる子を合わせると4人)が、その年収で暮らしていくには、無謀とも言える借り入れ金額です。
もちろん、FPさんは、それが分かっていても、そのことをお客さんには伝えることなく、その結果、建売住宅を販売することに成功しました。
そして、その家族がその家に入居するときにも、もちろん居合わせることになったのですが、FPさんは、その家族が本当に幸せそうな笑顔で喜んでいる姿を見て、心苦しい気持ちになったそうです。
「今は、こんなに幸せそうな顔をしているけれど、数年先は、住宅ローン破綻者になって、泣く姿になってしまうかも」
このことが、いつも頭の中をよぎり悩んだそうです。
「自分は、こんなことしていて本当にいいのだろうか? 人を幸せにするどころか、不幸に導いているだけじゃないか!」
そして、大手ハウスメーカーを退職して、それまでの経験を活かしながら、人を幸せに導ける仕事がしたいという思いで、ファイナンシャルプランナーの仕事に就いたそうです。
ちなみに、先ほどのお客は、今でもFPさんと友達としておつきあいしているそうです。
そのお客さんは、家を購入してから、家族をしっかりと養っていかなければという気持ちが強くなり、会社ではとても良い仕事をして、順調に給料もアップし、昇進していくことで、家を購入してからしばらくは、住宅ローンで苦しんだものの、今では、余裕で返済できるようになっているそうです。
しかし、このような方は少数派で、多くの人は、住宅ローンの返済に苦しみ、最悪の場合は、住宅ローン破綻者となって、家も土地も手放すことになる人が少なくないとか。。。
大手ハウスメーカーで仕事をしている頃は、そんな住宅ローン破綻に追い込まれて、家や土地を手放し、家族も別れ別れになる人たちを少なからず見てきた、辛い経験をした彼は、今では、ファイナンシャルプランナーの仕事を通じて、感謝される立場になれたことに生きがいを感じているそうです。
以上が、今回のセミナー講師であるファイナンシャルプランナー(FP)さんの紹介です。
私としては、このFPさんは、この業界の表も裏も知っていて、私たちのような、家づくりについての知識が少ない人の強い味方になってくれそうだなと思いました。
実際に、セミナーの話を聞いてみて、その通りだということも実感できました。
では、これから、そのセミナーの内容についてお届けしていきたいと思います。
次回は、「増税前に家を購入するべきか?」です。