注文住宅には定価というものはなく、提出された見積もりがお得なのか、もっと値引きできる余地があるのか判断することは難しいことです。
しかし、何千万円もする買い物ですから、値引き交渉をしないと損をするような気持ちになるのも事実です。
家を建てた後になって、
「値引き交渉をしておけば、もっと安く建てられたかも」と後悔したくないけれど、
「注文住宅で値引き交渉をして良い家にならなかたらどうしよう」
という心配もあるでしょう。
ここでは、注文住宅の値引き交渉について考えてみたいと思います。
注文住宅の値引き交渉を迷う理由
注文住宅で家を建てるときに、値引き交渉はするべきか、それとも、値引き交渉はしない方がいいのかを迷う方は多いです。
注文住宅の値引き交渉を迷う理由は、大きく3つあります。
【理由1】家の品質が落とされるのではないか?
値引き交渉を行ったことで、いくらかの値引きが成立したとして、その値引きはどこからされているのか心配になります。
「もしかしたら、使用部材の品質を落とされて安い物にされててしまうのではないのだろうか?」ということが心配になります。
【理由2】手抜き工事をされるのではないか?
家の工事は、私たち施主が工事の開始から完成までの間、すべてを監視していることは不可能です。
また、建築関係者でもない限り、本当に適正な工事がされているのかを見定めることは難しいでしょう。
さらに、家の建築工事には、見えない部分がたくさんあります。
値引き交渉をすることによって、コストダウンのための私たちには分からない手抜き工事がされないかは心配事のひとつです。
【理由3】ちゃんとした職人によるしっかりとした工事がされないのではないか?
最近の家は、施工期間の短縮化や効率化によってコストダウンをするために、木部材についてはコンピュータによるプレカットによって製作されることが多くなってきました。
そのため、品質のバラつきは少なく、組み立て工事自体もシンプルになってきています。
以前は、大工さんが建築現場で、ノミやのこぎりを使って手作業で行っていたため、大工さんの腕の良し悪しが家の出来栄えに大きく影響しました。
とはいっても、やはり腕の良い職人によって造らえる家と、そうではない職人によって造られる家の出来栄えには差がでます。
そして、一概には言えませんが、腕の良い職人ほど人件費も高くなるでしょう。
人件費は建築コストに大きく影響をするものですから、値引き交渉をすることによって、人件費を安くするために経験の浅い賃金の安い職人を割り当てられる可能性が心配されます。
以上、注文住宅で値引き交渉を行ったことによる不安を感じる3つの理由について説明しました。
つまり、物の質を削られること、工事の質が落とされること、そして人件費が削られることによって、建てられる家自体の完成度が低くなってしまうことが心配で、値引き交渉をするべきか、それともしないべきかで悩むわけです。
値引き交渉をすると、家の完成度が落ちるのか?
では、実際に注文住宅で値引き交渉をすると家の完成度が落ちてしまうのでしょうか?
これは、明確な答えは誰も言えないでしょう。
注文住宅会社によっては、値引き交渉をされることによって、部材のランクを落としたり、人件費の安い職人で施工する会社もあるかもしれませんし、企業努力によって、品質は一切落とさず利益を削ることで値引きを実現させる建築会社もあるでしょう。
では、値引き交渉はいったいどうすればいいのでしょう?
注文住宅の値引き交渉のコツ
注文住宅の値引き交渉をするコツは、そもそも値引きをお願いする理由をよく考えて行うことでしょう。
例えば、こんな理由の場合(その1)
すでに複数の注文住宅会社から見積りをもらい、あるひとつの会社で建てたいと思ったときに、その会社が他の会社よりも若干割高であった場合に、「御社でお願いしたいと思っているんだけど、あと少し値引きは無理かなあ?」などと言ってみると、値引きが期待できる可能性はあるでしょう。
ただし、相手にとっても相見積もりをされていることを知っての見積り提出であるのでしたら、限界に近い見積り計算を行っているはずですから、あまり無理強いはしない方がいいでしょう。
例えば、こんな理由の場合(その2)
ある会社の見積もり金額が予算よりも若干オーバーしていて、それでも、その注文住宅会社で家を建てたくて、値引き交渉でなんとかしたい場合もあるでしょう。
このような場合は、その会社の家が好きで家を建てたいのだけれど、予算オーバーになっていることを伝え、値引きをしてくれることで契約する約束をするような交渉もいいでしょう。
もちろん、予算オーバーといっても桁違いな予算オーバーでは話になりませんし、お互いに折り合いのつく妥協額を探ることで検討してみましょう。
以上の例のように、「なぜ値引きをお願いしたいのか」ということをよく考えて、値引き交渉をしてみることが成功のコツだと思います。
値引き交渉よりも、効率的で確実な値下げ方法
家は、金額の高い買い物ですから、値引き交渉によって、何十万円もの値引きを期待する方もおられるでしょう。
しかし、最近ではローコスト住宅が人気があるため、ローコスト住宅メーカーではない注文住宅メーカーも、価格設定(値段設定)には、かなりシビアになっています。
それは、大手ハウスメーカーであっても同様で、無駄なコストは削減して、コスト減に努めていることは理解しておくといいでしょう。
つまり、どの注文住宅会社も価格競争は強く意識しているのです。
多くのハウスメーカーは、利益(儲け)自体を引き下げてローコスト建築会社に対抗しているため、値引き交渉で大幅値引きを期待することは難しくなっているといえるでしょう。
そのため、値引きを期待するよりも、最初から相見積もりをしていることをはっきりと伝えておく方が、私たち購入者にとっては有利になります。
値引き交渉でエネルギーを使うよりも、複数の注文住宅会社から一括見積りをする方が、お金を安くできお得になることが期待できるということですね。
注文住宅の一括見積もりについては、別の記事で詳しく解説していますので、ここでは簡単にご紹介しておきましょう。
わずか数分の一手間で、費用が数百万円も変わることもあります!
満足できる理想の注文住宅を安く手に入れるには、複数の注文住宅会社に見積もり依頼(相見積もり)をすることは絶対に欠かせません。
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